元リンク:https://home.yikeweiqi.com/mobile.html#/gonews/detail/43625
元サイト:弈客囲碁
元作者:清風
年々同じな花が咲くが、同じ人間はいない。知らず知らずのうち、2021年に突入し、2020年は新型コロナのご時世の中、囲碁界ではたくさんの出来事があった。驚きあり、奇跡もある、別れもあり、閉幕もあった一年だったが、全ての物語の主役はただひとりではない。
旧正月と迎える中、2020年囲碁界の重大ニュースや事件をまとめ、(中略)今回は、2020年妙手ベスト10の上編を、皆様と目に焼き付けたい。(敬称略)
第10位:江維傑(こう・いけつ)「素朴で華あり」、妙手で大石と仕留める
2020年3月18日、囲棋甲級リーグーオンライン戦、黒番の江維傑(こう・いけつ)対羋昱廷(み・いくてい)の一戦。
106手まで、左辺の白は一眼しかないが、黒もかなり薄い、この時、黒番の江維傑は白の大石を仕留めるか、それともどう動くか。
(変化図1)黒1と白を封鎖しようとすると、白は黒の薄みを利用し、もう一つの眼ができる。という訳で、江維傑はどう決断するか。
(実戦1)白は考えもしなかっただろうか、江維傑は直接黒▲のブツカリを放した。白の大石の眼を直接塞いだのだ。
(実戦2)最後に黒番の正確な読みで、白を全部仕留めた。
第9位:申旻埈(シン・ミンジュン)華ある好手
2020年2月14日、韓国竜星戦1回戦,金明訓(キム・キョンフン)対申旻埈の一戦。
手番は白番の申旻埈、右下隅の黒は、まだ繋がっていない。
(変化図1)白が直接黒へ仕掛けると、白の形にも弱点があり、黒6のキリで白も大変なことのなる。実戦では、申旻埈が思わない妙手を放った。
(実戦1)申旻埈のアテコミ、華あるさすがの一手で、この一手により、AとBが見合いとなる。
(実戦2)その後、黒が白の弱点に向けて仕返したが、150のアテコミにより、黒Aのキリが手にならなくなった。
(実戦3)最後は白が中央の黒を外勢を完全に翻弄し、白番の中押し勝ちを収めた。
第8位:柁嘉熹(だ・かき)の相次ぐ妙手により、優勢に立つ
2020年3月13日、中国ナショナルチームリーグ戦の1局、黒番の柁嘉熹対若手棋士陳浩、右下隅で激しい戦いを終え、手番は黒番だ。
(変化図1)この局面で黒1ノビを打つと、白2のトビで左下隅を固め、黒が満足できない。
(実戦1)ここから柁嘉熹が相次ぐ妙手を放つ、黒1のツケに対し、白2のハネ、そこから黒3のハザマが好手、白の形を弱点に向け、正確に仕掛け始めた。
(実戦2)145手まで、黒が外側を厚くし、左下隅でも実利を稼ぎ、大成功を収めた、この局最後は柁嘉熹の中押し勝ちとなった。
第7位:時越「大知は愚のごとし」の妙手、ピンチからの脱出
2020年1月8日、第34回中国囲碁天元戦、本戦2回戦、黒番の時越対江維傑。
両者が上辺で激しい攻め合いが行われ、江維傑の白160手ノビにより、黒8子が大ピンチになった。
(変化図1)黒1のトビは、一旦ピンチから脱出できるが、白は左上隅の黒がダメ詰めできないことにより、中央の黒との攻め合いは、白の一手勝ちだ。黒はどう動くべきか。
(実戦)大ピンチの中、時越の黒ツナギは妙手。
パッと見中央の黒と全く関係ないが、実はこの時白は既に中央の黒を仕留めることができなくなった。ついでに黒は変化図の弱点を補い、右辺6子のダメも一手伸びたのだ。
(実戦図2)白が懸命にコウまで持ち運んだが、黒からのコウ材が豊富で、白番からの勝ち目がなくなり、そのまま投了した。
第6位:井山裕太の模範的妙手
2020年11月14日、中国乙級リーグの一戦、中日友好チームの主将井山裕太対北京棋院チームの毛睿龍(もう・えいりゅう)との一戦。
ヨセに入り、白番の毛睿龍が黒の陣地で仕掛け始め、このまま手になろうとしている。
(変化図1)黒1と直接眼を潰そうとするなら、右辺の戦いはまだ難しい、だがこの時井山裕太が妙手を放った。
(実戦)実戦黒番の井山裕太がノビを打ち、相手を油断させようとした。ここで白がAでコウにすると、左下隅に黒からのコウ材が多く、コウなら白は不利で無理がある。
(変化図2)ここで白が2子と取るなら、黒2のオキで、分かりやすくに白は生きることができない。
(実戦2)最後は黒が右辺の白を全部仕留め、勝利を収めた。
(下編につづく)